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歴清社|金の創扇

  • # 工芸
  • 写真:歴清社|金の創扇
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日本の伝統と美意識から生まれた、華やかな“箔雑貨”にうっとり

1905年に広島で創業した歴清社は、日本の伝統的な箔文化を継承しながら、現代の感性に合った革新的な金銀箔紙を創造するクリエイター集団です。オンリーワンの箔押し技術と若いクリエイターの感性が融合した箔雑貨は、日常を華やかに演出し、使う人を幸せな気分にしてくれます。

本金箔と比べても見劣りしない、洋金箔を使った箔押し紙を開発

本金箔と比べても見劣りしない、洋金箔を使った箔押し紙を開発

日本の伝統技術の一つ、箔文化。金箔と聞くと、石川県の金沢をイメージする人が多いかもしれませんが、実は広島にも箔文化を継承する会社があります。広島市西区三篠町にある歴清社は1905年に創業しました。もともとは刀剣商を営んでいましたが、1876年に発令された廃刀令により屏風商へと転換。「当初は、屏風用の金紙を京都から仕入れていましたが、高価な上、入手に時間がかかっていたそうです。自分たちで作ることはできないだろうか、と考えた創業者の久永清次郎が着目したのが洋金箔(真鍮製の箔)でした」と営業開発部リーダーの藤井育代さんが教えてくれました。洋金箔を使った箔押し紙の開発に着手した清次郎は、材料や製法の試行錯誤を繰り返し、約10年の歳月をかけて、本金箔と同様に変色せず実用にも耐えうる金紙を日本で初めて製品化。真鍮製でありながら本金箔と比べても見劣りせず、安価な歴清社の金紙は評判になり、瞬く間に販路を拡大していきます。

1945年8月6日、広島市に原子爆弾が投下された際には、爆心地から約2.2kmの位置にあったため、煙突とモルタル製の倉庫以外は倒壊しました。戦争被害を受けた歴史を持ちつつ、令和の今に至るまで、激動の時代を乗り越えてきた歴清社。現在同社の製品は、神社・仏閣、美術館、「ヒルトン広島」などの高級ホテル、JR広島駅をはじめ、国内を超え、世界各地のさまざまな場所で目にすることができます。

オンリーワンの箔押し技術と、若いクリエイターの感性が融合

オンリーワンの箔押し技術と、若いクリエイターの感性が融合

本サイトにも「歴清社さんの金箔を使った“もの”や“わざ”は息を呑む美しさです!」とお声が届きましたが、歴清社の技術力のすごさはどこにあるのでしょうか。被爆した煙突が今も残る工場を案内していただきました。まずは、箔押しの作業場へ。クリエイターと呼ばれるスタッフが越前から仕入れた接着剤が塗布された和紙に、手際よく洋金箔を貼っています。洋金箔の厚みはなんと約0.0004mm。熟練の技術が求められる非常に繊細な作業です。企業秘密のため詳細は明かされませんが、貼り付けに使用する接着剤と、紙の表面をコーティングするトップコートには、創業者が開発した世界で唯一の箔押し紙製造の技術が使われているそうです。箔を貼った和紙を1週間から10日ほど乾燥させ、トップコートを施し、箔押し紙が完成します。

金紙はこのまま使用する場合もありますが、揉んだり、絹やオーガンジーなど別の素材を貼ったりと、加工することで、付加価値を付けていきます。「当社では、製造スタッフのことを職人ではなくクリエイターと呼びます。1つのことを極める職人ではなく、それぞれが常に想像力を働かせ、何か新しいことができないかといろいろなことを模索し、ひたすら技術と感性を磨いているんです」と藤井さん。クリエイターの平均年齢は30代半ば、業界の中では圧倒的な若さです。創業から110年以上にわたり受け継ぐオンリーワンの技術と、若い感性を積極的に取り入れた製品づくり、これが歴清社の誇る技術力であり、強みです。

歴清社の技術&伝統をもっと身近に。箔を使ったオリジナル雑貨を展開

歴清社の技術&伝統をもっと身近に。箔を使ったオリジナル雑貨を展開

業界に革命を起こした歴清社の箔押し技術ですが、箔押し紙は内装材として問屋に卸されることが多く、一般の消費者にとっては遠い存在でした。「当社の技術や伝統をもっと身近に感じてもらいたい」と考えた6代目の久永朋幸さんは、日常生活の中で気軽に使える箔を使った雑貨を作ることを思い立ちます。社内一丸となってアイデアを出し合い、2018年、箔雑貨の第一号として誕生したのが『金のふりかけ』でした。銅を一切使用していない高純度のゴールドフレークは、お茶やお酒に振りかけたり、お菓子や料理の仕上げに使ったり、お祝いの手紙に添えたり……使い方は自由自在。ひと振りするだけで、金箔ならではの華やかさや幸せな気分を感じられるアイテムとして話題を集めます。

その後、表紙と裏表紙に箔押し紙を施した『箔のスケッチブック』、ペーパーウェイトやインテリアとして使えるアクリルキューブ『箔のキューブ』など、個性豊かな雑貨が次々と登場。中でも、歴清社の箔押し技術と洋金箔の美しさを最も感じられるのが、2020年に生まれた『金の創扇(そうせん)』です。歴清社、廿日市市在住のデザイナー、京都の扇子制作会社によって作られ、それぞれの技術と感性が見事に調和しています。1番の特徴は、扇の骨を使わない、これまでにない新しい形。パラボラアンテナの開き方を参考にしたという独創的なデザインの金色の扇子は、玄関やリビングに飾れば部屋のアクセントになるはずです。

SNSで世界に箔文化を発信!歴清社の挑戦は終わらない

SNSで世界に箔文化を発信!歴清社の挑戦は終わらない

2022年3月、国連が提唱する持続可能な開発目標の趣旨に賛同し、持続可能な社会の実現に向けて「SDGs宣言」を策定した歴清社。重点項目の一つに挙げた「環境に配慮した事業運営」は、原材料の再利用や廃棄物削減に努めることにより、持続可能な社会の実現に貢献するというもの。例えば、箔雑貨の『手仕事のおすそわけ』は、製作過程で発生した切れ端など、大小さまざまなサイズの金銀紙を詰め合わせています。「箔押し紙を余すことなく使いたいというサステナブルな思いから生まれました。いわゆるアップサイクルですね」と藤井さん。時代の流れを敏感に察知し、常に新しいことに挑戦し続けています。

6代目の朋幸さんに、今後の展望をお聞きすると、「当社は創業以来、日本の伝統と美意識を誇りに思いながら、既成の枠にとらわれない柔軟な考え方で、時代に合わせた商品開発を行ってきました。私の時代に重きを置いているのは、箔をもっと身近に感じてもらうこと。メインは壁紙などの内装材ですが、新たな雑貨の開発にも力を入れながら、SNSを使って世界中に箔文化を発信していきたいです」と熱く語ってくれました。現在、YouTube、インスタグラム、TikTokなどを活用し、積極的に情報を発信している歴清社。広島から世界へ、これからどんな新しいことで驚かせてくれるのか、今から楽しみです。

株式会社歴清社:広島県広島市西区三篠町3丁目20−4

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