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Dewon
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プリンを軸に多彩なスイーツで 地元の魅力を全国へ届ける
広島県三原市産のフルーツを主に使った多層仕立てのプリンが瞬く間に話題に。今、最も勢いのある「店舗を持たない洋菓子店」Dewon(デュウォン)。「どこをすくっても感動があるように」と、層ごとに異なる〝美味しい“が緻密に計算されています。決め手は底に忍ばせたレモンティーキャラメル。県産レモンの爽やかな風味が美味しさの底上げをしています。その美しさと奥深い味わいに、全国から問合せが殺到中です。

転機はフランス 概念を覆す一皿に出合う
「広島県三原のこぐまや洋菓子店の三代目です」。そう話すのは、Dewon代表の横田シェフ。生まれも育ちも三原市の横田さんは大学で上京します。「跡を継ぐことは決めていました」と語る通り、上京後も後継ぎとしての思いは揺るぎませんでした。東京では学業と並行して、フランス菓子店で修業。転機は27歳でした。先輩に「フランスで働いたことがないのに、フランス菓子をやっていると言えるのか」という一言に背中を押され、渡仏を決意。約1年、フランスで研鑽を積みます。
そこで出合ったのが、ロワール地方・アンジェで味わった〝皿盛り”のクレメダンジュでした。「皿にめいいっぱいの木苺のソースが敷かれ、真ん中に背の高いふわふわのレアチーズケーキが乗って出てきたんです。これがクレメダンジュ?って」。日本ではガーゼに包まれた姿が定番だったからこそ、たっぷりの木苺のソースを使った自由な表現に、見た目も含めて感銘を受けました。「15年も前の話ですし、アンジェだけのスタイルなのかもしれませんけど…。それから、よくその店に通うようになり、自分の味を作ってみたいと思うようになりました」と横田さんは話します。その原体験は、後に「Dewon」のケーキプリン「クレメダンジュプリン」へと繋がっていきます。「当時はまだ構想なんて無かったんですけど、フランスでの経験がヒントになったのは間違いありません」。

地元の恵みを活かしたプリンが アマゾンプリン部門で1位に!
フランスから帰国後、30歳で三原市に戻った横田シェフ。家業「こぐまや」を切り盛りしながら感じたのは、地元に広がる果物の豊かさでした。横田さんは「三原には本当に良い農家さん、果物が沢山あるんです」と熱く語ります。この素材を活かせないかと模索するなか、ネット通販にも注力。2022年、地元のいちごを使った「いちごのフルーツプリン」をアマゾンに出品すると即座にヒット。プリン部門売上1位を獲得しました。「アマゾンに出したプリンは『Dewon』のプリンとはまた全然違っていたんですけど。ただ、プリンって、どんな世代からも愛されているなと痛感しましたね」と横田さん。

その手応えから、横田さんはより上質なプリンを作ろうと思い、約1年試行錯誤。2023年秋、店舗を持たず催事とオンラインショップのみで販売する洋菓子店「Dewon」が誕生します。華々しいデビューの舞台は、伊勢丹新宿店。「伊勢丹でデビューなんて、本当に凄いことで…いろんな方に助けていただいたおかげです」と恐縮しながら話す横田さん。その後、全国の百貨店からオファーが相次ぎ、2025年春に「福屋八丁堀本店」にも初登場を果たしました。

すくった時の感動が続くよう 最後まで飽きさせないプリンが完成
店名「Dewon」は、DEW=みずみずしい、ON=のせる、を組み合わせた造語で、商品は「旬の国産フルーツをたっぷり使用した洋菓子」をテーマに掲げています。プリンは大きく分けてフルーツプリンとケーキプリンの2種類を用意。フルーツプリンはプリンに新鮮なフルーツをたっぷり使ったゼリーをON。ケーキプリンはモンブランやクレメダンジュのようなフランス菓子をプリンに見立てた一品です。プリン生地の核となる卵は地元の業者から毎朝届く新鮮なものを使用。コクを出すためクリームチーズとバニラを加えています。砂糖は甘味のコントラストを意識して、きび糖など3種類をブレンド。食感は「舌に残りながら、じわ~っと溶ける感覚」を目指し、なめらかさを徹底的に追求しました。

見た目は2~3層でも、甘味や酸味を緻密に重ねることで、口の中では5~6層の奥行きを感じる仕立てに。なかでもアクセントになるのが下層に敷かれたレモンティー風味のキャラメルソース。キャラメルソースには広島のブランドだからこそレモンを使うことは決めていたものの、酸味が強すぎたりキャラメルが苦くなりすぎたりと試作は難航。そんな時、休憩中に飲んだレモンティーからヒントを得て、紅茶がレモンとキャラメルを繋ぐと閃いたそう。すぐに試作すると「めちゃくちゃ美味しくて!」と横田さんは声を弾ませます。濃厚なチーズプリンに負けない、レモンの爽やかな香りと酸味は、「初めて食べる味」と評判を呼び、いまや「Dewon」らしさを象徴するキャラメルソースとなっています。

進化が止まらない「Dewon」 全ては〝広島を盛り上げたい”気持ち
全国各地から出店の依頼が相次ぐなか、プリンならではの課題も浮上しました。「冷蔵が必要で持ち歩きにくい」「瓶が重い」というお客様からの声です。横田さんはプリン以外のスイーツにも力を入れる必要性を実感し、焼菓子「広島レモンクッキー」を開発。地元を感じられる広島ブランドとして、その爽やかな風味が評判を呼び、徐々に話題に。さらに今年は、外はサクサクのパイ生地に、とろりとしたプリンを閉じ込めた「カヌレプリンパイ」を発売。これまでに無いスイーツとして、出店先では長蛇の列ができる人気ぶりでプリンに次ぐ看板商品へと育っています。

横田さんは「『Dewon』が有名になることで、広島や地元の農家さんを知ってもらえるきっかけにしたい。広島に来てくれたり、広島の良さが広がれば嬉しい」と語ります。最近では、SNSで商品や出店の裏側を積極的に発信。投稿をきっかけに、まだ食べたことがない人が「Dewon」を知り、ファンになっていく流れも広がっているそう。プリンを原点にしながらも、焼菓子や新作スイーツを次々と生み出し進化を続ける「Dewon」。SNSの発信も相まって、広島の魅力を全国へ広げ、地域を元気づける存在となりつつあります。

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